
AddictEsc.
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2776 回視聴 ・ 149いいね ・ 2025/01/07
敷かれた細く白い道。どこまでも続く、透明な拘束具。
私は、それらを纏わりつかせたまま、歩くことを強いられている。
…いつから、こうも息苦しくなったのだろう。
鏡に映る私は、酷く歪み、輪郭を失い、赤い水彩絵の具のように、滲んでいく。
どこかで、重い金属音が、不規則に鳴り響いている。…遠い昔に聞いた、子守唄のようにも聞こえる。
…ああ、そうだ。あの頃、私はまだ、夢を見ることを、許されていた。
幼い私は、確かに信じていたのだ。この道の先に、輝く「未来」があると。
…いつからだろう、諦めることに慣れてしまったのは。
…いつからだろう、この「概念」に、飼い慣らされてしまったのは。
ふと、足元に目を落とすと、無数の「言葉」が、蟻のように蠢いているのが見えた。
「常識」「普通」「幸せ」「正義」…
それらは、甘い蜜をまき散らしながら、私の足に絡みつき、思考を奪い、そして、心を蝕んでいく。
…ああ、私はもう、この「概念」の牢獄から、逃れることはできないのか。
ふと、顔を上げると、地平線の彼方に、黒い虹が架かっているのが見えた。
…あれは、偽りの虹。あの下に辿り着いたとて、そこには何も無い。
あるのはただ、無意味な記号と、虚無の空間だけ。
頭上高く、歪んだ空間に、無数の「目」が現れる。
それらは、私を値踏みし、嘲笑い、そして、裁こうとしている。
…ああ、私は、何のために、生きているのだろう。
何のために、苦しまなければならないのだろう。
…いっそ、このまま、全てを終わらせてしまおうか。
この、息苦しい「現実」から、逃れるために。
私は、目を閉じ、意識の底へと、沈んでいく。
…赤い、赤い、絵の具のように、溶けて、消えていく…
どこまでも、どこまでも、深く、深く…
…これは、お伽噺。
概念に囚われ、そして溶けた、哀れな少女の、お話。
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